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ESGランキング ―上位企業の特徴や取り組みは?―

公開日:2023/02/15

はじめに

企業のESGへの取り組みをランキング形式で示したものが、各種メディアや調査機関から公表されています。株主をはじめとした企業のステークホルダーが、投資判断の際や企業のESG経営への姿勢などを確認するためにランキングを活用することができます。そのような中、企業は、ランキングをはじめとした第三者評価を意識したESG経営が求められてきています。ついては、これからESG経営を指向する企業経営者、ランキングの活用を考えている投資家などへ、参考となるよう、公表されているランキングと高評価企業の取り組みについて取り上げていきます。

ESGとは

ESGとは、環境(E:Environment)、社会(S:Social)、企業統治(G:Corporate Governance)の頭文字から取られた用語です。そして、企業経営の観点では、この3要素の意識し、自社の経営に取り組む「ESG経営」という概念で使用されています。一方、投資家の側面では、「ESG投資」とういう形となります。したがって、企業によるESG経営と、投資家によるESG投資が相互に影響を与えながら両輪の関係性で認知が進んできています。
 
なお、ESG投資額の規模が、近年のEGSへの注目度の高まりや、重要度を表しており、参考になると思われます。世界各国のESG投資額のデータ集計を行っている国際的団体のGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)が、隔年で作成している世界のサステナブル投資の状況をまとめたレポートがあります。そのデータによると、2020年時で、約35.3兆ドル(USD)、日本円にすると約4,766兆円(ドル円レート135円で換算)にも上ることからも、ESG投資は世界的な潮流となっていることが確認できます。

ESGランキングを提供する情報機関

ESG評価機関やランキングスコアなどのデータを提供する機関は多数存在します。これらは、各ESGの項目である、環境(E:Environment)、社会(S:Social)、企業統治(G:Corporate Governance)を、企業の公開情報、独自の個別調査などをもとに評価を行い、その結果を主に投資家に提供しています。
日本取引所グループは、主な提供機関を一覧表で紹介しています。
詳細については、以下のリンクよりご確認ください。

日本取引所グループ ESG評価機関等の紹介

ESGランキングの紹介

次に、いくつかランキングを紹介していきます。


■Global 100 Index(Corporate Knights)

世界規模の企業ランキングとして、カナダのCorporate Knights社が発表する「Global 100 index of the 100 Most Sustainable Corporations in the World(「Global 100 Index」)」があります。サステナビリティ(以下、持続可能性)の観点で企業を評価しており、ESGと関連の深いランキングとなっています。2021年ランキングのTOP5は以下の通りです。

1位:ヴェスタス・ウィンド・システムズ(デンマーク:電機)
2位:クリスチャン・ハンセン(デンマーク:化学)
3位:オートデスク(アメリカ合衆国:IT)
4位:シュナイダーエレクトリック(フランス:電機)
5位:シティ・デベロップメンツ(シンガポール・不動産)

なお、日本からは積水化学工業(22位)、エーザイ(32位)、コニカミノルタ(53位)がランクインしました。

出典:https://www.corporateknights.com/rankings/global-100-rankings/2022-global-100-rankings/100-most-sustainable-corporations-of-2022/

■ESGブランド調査(日経BP)

日経BPが主要企業ブランドを対象として、全国の消費者のアンケートをもとにブランドイメージを調査・集計・分析したランキングです。
最新の2021年調査では560の企業ブランドを対象に、環境(E:Environment)、社会(S:Social)、企業統治(G:Corporate Governance)に「インテグリティ(誠実さ)」を加えた4分野68問の設問によってランキングを作成しています。最新ランキングのTOP5は以下の通りです。

1位:トヨタ自動車(自動車)
2位:スターバックス コーヒー ジャパン(小売)
3位:パナソニック(電機)
4位:イオン(小売)
5位:日本マクドナルド(小売)

出典: https://www.nikkeibp.co.jp/atcl/newsrelease/corp/20221006/

■ESGサイトランキング(ブロードバンドセキュリティ)

株式会社ブロードバンドセキュリティのゴメス・コンサルティング本部が運営するGomezが発表している、企業Webサイトのランキングです。企業が自社サイト上で公開するIR(株主・投資家向け広報活動)、CSR(企業の社会的責任)、サステナビリティ及びESGに関する情報の充実度や、サイトの使いやすさを評価しています。最新の調査は2022年5月2日までの情報をもとに、174社のウェブサイトを評価しています。最新ランキングのTOP5は以下の通りです。

1位:伊藤忠商事(卸売)
2位:日本電気(電機)
3位:双日(卸売)
4位:三井物産(卸売)
5位:コニカミノルタ(電機)

出典:https://www.gomez.co.jp/ranking/esg/

ランキング上位企業の取組事例

ヴェスタス・ウィンド・システムズ

2021年の「Global 100 Index」で1位となったデンマークの企業です。風力発電機の世界トップメーカーであり、世界各地で事業を展開し、サステナビリティ戦略の重要目標として、同社は以下の4点を掲げています。

1. 2030 年までにカーボン オフセットなしでカーボン ニュートラルを達成する。
2. 2040年までに廃棄物ゼロの風力タービンを生産する。
3. エネルギー業界で最も安全で、最も包括的で、社会的責任のある企業になる。
4. 持続可能なエネルギーで稼働する世界への移行をリードする。

出典: https://www.vestas.com/en/sustainability/sustainability-strategy

まとめ


ESGランキングと高い評価を受けている企業の取り組み例を紹介しました。投資家の方であれば、今回紹介したランキング以外にも、スコアやランニングを提供している会社がありますので、これら特性を調査したうえで投資判断に活用できるものと思います。一方、企業経営者の方は、高いランキングに位置する企業の取り組み事例を、自社のESG経営への取り組みの際に参考にするなど、一助として利用できるものと思われます。 

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